
日々の生活の中で、ふと、陽の具合なのか、湿度や風の薫りのせいなのか、「私はいつか、遠い昔、こんな空気の中にいたことがあったのではないか…」と感じてハッとすることがあります。
私は、その生い立ちのために、特に幼少期の記憶に欠落が多く、所々抜け落ちた記憶を補完したいという思いが強くあり、そんな風に遠い過去からの呼び声が聴こえたように感じた時、立ち止まって集中し、記憶を手繰り寄せようとするのですが、しかし、残念ながら、そうして集中してみても、これまでハッキリと記憶がよみがえってきたということはありません。
ほんとうに私は、似た空気の中にいたことがあったのだろうか…、
私は過去からの呼び声に応えることができていないのではないか…、
なんとも名状しがたい寂寥感のようなものに囚われ立ち尽くす、そんな瞬間の寄る辺ない思いを描いてみました。
